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れらの負傷者の救護、病院搬送にあたるとともに、救助隊による人命検索活動を開始した。
また消防隊の最先着隊は同時二線延長し、第一線は火点南側に、第二線は建物内より火点北側に注水部署し、火勢の強いプレス機付近に泡消火薬剤による注水を実施した。後着隊は建物南西側に注水部署し消火活動と中継送水にあたり消防職団員の懸命な消火活動により九時四四分鎮火にいたった。

 

五 行政措置等
爆発火災事故現場において消防活動及び火災調査等を十分に行うため、消防法第二八条に基づく消防警戒区域を設定した。また爆発火災及び爆風により損害が生じた危険物一般取扱所(押出工場・圧延工場・北本製作所)は、公共の安全の維持及び災害の発生の防止のため、消防法第一二条の三に基づき緊急使用停止を命じた。
また、通商産業省は、全国に類似の設備が相当数設置されていること等を踏まえ、事故原因の究明及び再発防止策を検討するため、同年八月四日に高圧ガス保安協会内に圧縮空気貯糟等破損事故調査委員会を設置した。

 

六 事故原因の推定
今回の爆発火災は圧縮空気貯槽が破損したことによるものと考えられるが、この圧縮空気貯槽の破損の原因として、次のものが可能性としてあげられるが特定するに至っていない。
(一)圧縮空気貯槽の欠陥による破損の可能性
(二)化学的爆発の可能性

 

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あとがき
今回の事故は、焼損面積のわりには、その被害が広範囲におよび、特に現場周辺の一般住宅にまで及んでいるところである。
これは、高圧ガスと危険物が混在した施設の危険性を改めて痛感した事例である。
消防本部としては、今後このような事故の再発を防ぐため運転開始及び停止操作における作業手順と確認項目等を明記した作業マニュアルを完備し、それを実施するという保安のための基礎的事項遵守の周知徹底を図っていきたいと考えている。
また、このような特殊災害に対しては、通産省、県など関係機関の協力を得なければ事故原因の究明及び再発防止策の検討がなかなかできないところであった。こうした関係機関の指導・協力に深く感謝をしたい。
(清水洋一)

 

救急

典型的なデグロービング損傷について
府中町消防本部(広島)

 

はじめに
府中町は広島市の広域合併の進行により、周囲を広島市にかこまれ、広島市中心部から約四km、広島県安芸郡の北部に位置し、その面積は一〇・四五kmである。
町の北部から東部にかけて標高五〇〇m以下の低い山々が連なり、ここ数年、丘陵を宅地として開発し、急激な変容をなしている。
昭和三五年ごろまでは田園の町として、農家戸数も全世帯の約一割であったが、広島市のベッドタウンとして好適地なため急激に発展を始め、標高七〇m以下の丘陵地帯は開発され、田畑のほとんどが宅地に転用され住宅街に変貌した。
また、大手自動車メーカーであるマツダ株

 

 

 

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